赤鯱新報

【U-18レポート】点差以上にあった彼我の差。味わった悔しさと練度の違いはこれからの伸びしろとして。

高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST 第7節
2024年5月19日 11:00 KickOff 安芸高田市サッカー公園
サンフレッチェ広島F.Cユース 3-2 名古屋グランパスU-18
得点者:31’大西利都(名古屋)39’井上愛簾(広島)52’井上愛簾(広島)56’小林志紋(広島)90+3’青木正宗(名古屋)
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広島は安芸高田市にある吉田サッカー場にて行われたプレミアリーグ第7節の広島ユース戦は、「今日は一緒に円陣組みましょう!」というキャプテン青木正宗の提案により、広島に駆け付けたサポーターたちと気合を入れての幕開けとなった。

トップチームが鳥栖から快勝を奪ったその翌日、広島は安芸高田市にある吉田サッカー場でU-18のプレミアリーグ第7節が行われていた。クラブユース選手権の東海予選もあって次節は1ヵ月後、何よりこのWESTで屈指の強豪である広島ユースとの戦いはリーグを戦う上でも、そして自分たちの実力を測る上でも是が非でも勝ちたい一戦、相手だった。試合前、キャプテン青木正宗は遠方まで駆け付けたサポーターたちへ挨拶をする際、「今日は一緒に円陣を組みましょう」といつも以上の一致団結を望んだが、とにかくできる限りの力をもらって闘いたい気持ちの表れだったのかもしれない。

今日は西森脩斗が掛け声をかけての雄叫び集合写真。気合は十分である。

試合はひたすら苦戦した。「3-4-3で来るかと思ったら4-2-3-1だった」と青木が漏らしたように、広島のシステムが想定とは別の形だったため、まず守備の修正をしながら戦う立ち上がりに。三木隆司監督も「ウチをリスペクトしてくれたのかな」と複雑な表情だったが、3-4-3で4バックを相手にした時にはかなりの共通意識がチームに必要になる。DFラインへのプレッシャーのかけ方、そこについていく中盤の配置や動き、もちろんDFラインの高低も含め、そう簡単にはいかない。結果、名古屋は中盤守備の強度がほぼない時間が続き、面白いように広島にボールを回され、冷や汗もののシーンの連発だった。

ベンチに向かってもサムアップの大西利都。

ただ、最後のところで守備陣が踏ん張ってくれたおかげで突破口自体は見いだせてもいた。広島の守備の要である木吹翔太は高さだけでなく攻撃面でも能力の高い逸材だったが、大西利都は「1対1なら別に自分はやれるという自信もあったし、何回かは勝てている部分もあった」とシンプルな背後へのボールはむしろアドバンテージになると果敢に攻め続け、同様に神田龍もハーフスペースを上手く使って反撃の道となっていた。32分には西森脩斗のパスに抜け出した神田のクロスをファーで大西が頭で押し込み先制。苦しい中でもチャンス逃さなかった前線ユニットは、得点後に加速に何度か決定機を作った。結果として言えばこの3枚を単純明快に使う背後へのボール供給はもっと強調しても良かったのだが、「そればかりではダメなので」(池間叶)、「気持ち的には蹴ってもらえれば負ける気はしなかったというか、勝てる感覚があったので、狙ってほしかった」(大西)というポジティブごとの意識の違いはもったいなかった。

1-0で折り返せるかと思った前半39分、左サイドを崩されて失点。自分のサイドからの失点に森壮一朗はうなだれる。

さらには前半終了間際にはそれまで何度となくしのいできた広島の攻撃のひとつを決められ、1-1に追いつかれて名古屋の面々は意気消沈。それまでにも崩されかかった場面は何度もありながら、それでもしのげていたことで彼らの闘争心も自信も良い状態に保たれていたのだが、「あそこで1点入れられるか、入れられないかで、相手の心理状況だったり、後半の自分たちの気持ちの持っていき方が全然変わってきたと思う」と青木は悔やむ。苦しみながらもリードを奪い、相手のポゼッションも“しのげている”“回させている”という感覚に収められていた中で、追いつかれると広島ユースにしてもプレーの感触は上がってしまうもの。要所を締めるという点で重要な最初と最後の5分間を締めきれなかったことで、後半はまさかの展開にもなっていった。

1-1で折り返した後半は守り方を整理して挽回の兆し。松嶋好誠のドリブルにもキレが戻ってきた。

ハーフタイムを挟んで仕切り直した名古屋は守備で無理に前に出ようとはせず、崩され続けた中盤に厚みと集中力をもって構える守りに意識を修正。ただそれだけに奪ってシンプルに前へ出る考えは強調したかったところ、自陣に引けば広島も勢いは増す。開始7分に右サイドに素早く展開され、矢のようなクロスを仕留められて逆転を許すと、4分後にはセットプレーの跳ね返りを見事なボレーで叩き込まれてあっという間に2点差に広げられた。青木は「自分たちがリードしていた時のメンタリティから、2点、3点入れられた後のメンタリティは間違いなく落ちた」と絞り出したが、ここを1失点で押さえておければ、勝機はまだまだ彼らの手の平にあったのかもしれない。

52分、56分と立て続けに失点し1-3。シュートはいずれも素晴らしいものだったが、対応は遅れた。失点後には三木隆司監督が2枚替えで流れを取り戻しにかかる。

ベンチはその後、中原蒼空と野村勇仁の投入を経て野中祐吾を送り込んだところでフォーメーションを4-4-2に変更。全体のマッチアップのバランスを取りつつ再度の勝ち越しを狙ったが、全体の連動感を欠いてそれもなかなかうまくいかず。プレッシャーをかけるにしても引いて守るにしても、あるいは速く攻めるにしても遅攻で厚みを出すにしても、この日はなかなか徹底することができずに中途半端なプレーが散見された。それはセカンドボールの回収率にも表れていたようにも思え、せっかくの攻撃が単発で終わってしまい、守りの局面の多さが選手の気力を奪ってしまったようにも思えた。

決めたのはファーサイドにいた青木正宗。ヘディングで叩き込んで1点を返した。

アディショナルタイムには池間のコーナーキックを青木が頭で押し込み1点は返したが、時すでに遅し。「これは終わってからの話ですけど、もうちょっとあれが前に入っていたら、みんなはスイッチ入った状態になったんで、もう少し時間があればなっていう感じ方にはなっちゃう」とキャプテンは天を仰いだが、これもまた教訓としていくしかない。点差は1点の2-3の敗戦、しかし内容的にはしてやられた感も強い。「全員で一人ひとりの技術もそうですし、流動性だったり関係性をもっと上げていかないと。強い相手はそれでは勝たせてくれないと思うので、練習から立ち返ってやっていかないといけない」と池間は言う。大事なのは引きずらないことで、糧として成長し、経験則としてピッチ上の動きをより良いものとしていけばいい。プレミアリーグは3分の1を消化し現状は3位と悪くない位置だ。ここからいったんはクラブユース選手権に頭を切り替え、よりスケールアップして夏からの戦いに輝きを見せてくれればいい。

reported by 今井雄一朗

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