赤鯱新報

【クラブニュース】U-18源平倭人に丸山祐市、米本拓司が貴重なアドバイスを伝授。”先輩”からの特別講義に若者は勇気づけられた。

5日のU-15のトレーニング訪問の前に、U-18の源平倭人が丸山祐市と米本拓司に話を聞くという機会が設けられていた。高校3年間で3度の前十字靭帯断裂を経験した源平に、同じ負傷から復活を果たしている2選手からアドバイスを、というクラブの粋な計らいだった。

昨日に行なわれた丸山祐市と米本拓司のU-15トレーニング訪問に先立って、実はちょっとした対談の席が設けられていた。それは高校3年間で実に3度の前十字靭帯断裂を経験し、今も別個所の負傷でリハビリ中のU-18源平倭人に、同じ負傷からの復帰経験を持つトップの先輩にアドバイスを求めるというもの。サッカー選手にとっては”生き死に”にもかかわる膝の大けがは、受傷したものにしかわからない苦しみや辛さがあり、それは我々には到底理解の及ぶところではない。だからこそ「プロになりたい」と大学サッカーへの進路を選ぶ源平に、メンタルの持ち方や負傷箇所との付き合い方などを伝授しようというこの場はクラブの粋な計らいと言えるだろう。運良くその場に立ち会うことのできたからには、しっかりと伝えたいと思う。丸山、米本、2選手が後輩に寄り添うように語った経験談、心の持ちよう、そして激励を、ぜひとも確かめてほしい。

丸山祐市、米本拓司、源平倭人の対談の様子は以下の通りだ。

憧れのトップチームの選手、しかも自分と同じ負傷からの復帰を経験しているふたりとの”対談”に、源平倭人も嬉しそう。

源平「僕がおふたりに聞きたいこととして、3回前十字靭帯を自分はケガしている中で、毎回、毎回、『もう次はやらないぞ』って思ってリハビリしているんですが、それでも結果的に3回、こうしてケガをしちゃっていて。丸山選手や米本選手が、リハビリ中に大切にしていることとか、次またケガしないためにこういうことをしているとかがあれば教えてほしいんです」

丸山「どうぞ」

自らの経験を踏まえ、源平倭人の状況に優しい笑みを浮かべる二人。わかるよ、という親密さが感じられた。

米本「いやまあ、俺は…。3回俺も切ってるけど、『頑張れ』って言われなくても3回やってるってことは、普通に頑張ってるから。俺はあんまり頑張りすぎなくていいかなって思ってる。リハビリについても、俺も今年は半月板をオペして、早く復帰して。1ヵ月半から2ヵ月って言われて、結局1ヵ月で復帰したけど、それもなんかめちゃくちゃ頑張ってやろうっていうよりも、言われたことをちゃんとやって、そこは祐市くんはどっちかって言うとたぶんプラスアルファをやる派なんだけど。でも、俺はもうケガしすぎていて、ここで頑張っても後々に響くんじゃねえかな、自分の気持ちが持たねえんじゃねえかなって思いながら、常に『もうちょっとやりたいな』ぐらいで、けっこう1日のリハビリは終えてたかなっていうのはあるかな。もう3回やってるから、周りから頑張れって言われても、『いや、頑張ってるよ』って思うし。俺も2回目やった時に、これはあんまり言ったことないんだけど、兄ちゃんにいろいろ『頑張れよ』とかずっと言われてて。俺、兄ちゃんにあんまり逆らったことなかったんだけど、『いやいや、頑張ってるから。頑張れよ頑張れよって、見てないじゃん。頑張ってんだから、いちいち言うなよ』って言ったんだよ。それぐらいのことだと思うんだよね。こっちとしては頑張ってるんだから、周りにどうこう言われようが自分のペースでやるっていうか。言われて焦ってやっちゃうと、もう1回やるし、さっき言ってたみたいに、『次はやんないぞ』って思って欲出してやりすぎるとね。俺も今回、半月板のオペする時はもうやんないぞと思いながらやったけど、でも、なっちゃったらなっちゃったでしょうがないから。なったらなったでもう1回オペしよう、それでもう1回復帰すればいいやぐらいの軽い気持ちじゃないと、メンタルは持たないかなって。俺は思うかな。でも、辛いよな…」

自らの経験を語る米本拓司。源平倭人も、丸山祐市も、それぞれに神妙な顔つきでそれに聞き入る。

丸山祐市も自らの経験を語って聞かせた。

丸山「僕からはと言っても、もう3回切ってる時点で俺の”先輩”みたいなものだけど。まあ、ヨネの言う『頑張れよ』っていう周りからの声は、周りの人は気を遣って『頑張れよ』って言ってくれるけど、それが辛いっていう。『はいはい』って受け流せる時は流せるんだけど、6ヵ月から8ヵ月ぐらいリハビリしてて、余裕がある時はいいんだけど、膝の調子の良し悪しって、1日1日で、ほんと昨日は良かったのに今日はめちゃくちゃダメとか、その逆もあるし。そういった意味で一生懸命やったから絶対良くなるってわけじゃない。膝は本当にやった人にしかわからない、それは本人にしか全然わからないと思うから、そういった意味でも、頑張りすぎないっていうのはさっきヨネが言った通りで。膝の調子が良くて、やりすぎてまたリハビリ中に切っちゃうっていうのもよく聞く話だし、あまり焦らず、しっかりと1日の自分の最低限のタスクっていうか、自分のやるべきことをやることが大事なのかなとは僕自身は思っていて。でもやっぱりメンタル的には長いから、気持ちが滅入ることもあるし、それはもう自分の中でしか解決できないから、僕もやってるけど、落ち込む時は落ち込んでるし、良い時は良い、でもどっちかというと辛い時の方が間違いなくリハビリというのは多いから。そういった時には自分が好きなことを、大好きな女優がいるならそれを見てもいいし、ほんと自分の気が紛れるものを。もちろんサッカー好きならサッカー見ればいいけど、ケガしている時はサッカー見たくないから俺は一切遮断してた。そうやって、自分の好きなことでちょっとでも気を紛らわすってことが、気持ちの維持にはつながるのかなと思う。 何かやってることはって言ったら、特になくて。まあ、膝回りはずっとこう、ずっと自然といつの間にかさすってるものだから」

「3年間で3回か…」としみじみする米本拓司。自分も3回の前十字靭帯断裂を経験しており、深い理解が感じられる。

この経験の難しさ、もどかしさがわかるからこそ話はにこやかなものとなった。理解者との会話は心強いものだ。

源平「ああ、それはあります(笑)」

丸山「もうとりあえず温めて、温めてね(笑)。ずっと触ってれば」

「膝をついつい触っちゃうよね」という”あるある”に共感する選手たち。

米本「頼むよ、っていうぐらいだよね」

丸山「本当にそう。ケガはつきものだから、プロになっても。それを深く捉えるのかどうか」

米本「プロになりたいんでしょ?」

源平「そうです」

話が進むにつれ、3人の空気感もかなり打ち解けた感じに。

米本「全然なれるよ。俺だって3回切ってこれだけ試合出てるし」

丸山「(米本の)半月板は1ヵ月とかだと思うけど、前十字は1年間のリハビリだけど、1ヵ月(の復帰)はもう1週間でね」

米本「いや、ケガじゃないね。ケガだけど(笑)」

丸山「ケガだけどケガじゃないみたいな」

米本「1、2、3、4、5、6回、オペしてるから俺。前十字靭帯3回、半月板2回、肘の脱臼1回」

”負傷歴”を数える米本拓司。膝だけでなく、前十字靭帯だけでなく、本当に至るところを負傷してきた男である。

源平「マジですか…」

丸山「サイボーグだよね」

米本「両肩脱臼してるし、両足内側いってるし。意外にできるかな。と、言っても辛いんだけどね。なるよね。わかるよ」

丸山「だからゆっくりだよね。焦らず」

米本「うん、そうだね。なんだかんだ自分にはサッカーしかないって思ってるから、結局は。まあ、もう1回ケガしたらどうしようとか思うけど」

丸山
「そういう中途半端な方がケガしちゃうからね」

米本「そうそう。俺はもう割り切ってたから、そこは。ケガしたら、でもどうせサッカーしかないから、もう1回リハビリやればいいやみたいな。だから俺は守備でも突っ込んでくし、無理な体勢でも行くし、『お前そんなんしてるからケガすんだよ』ってけっこう言われるんだけども、それがないと自分じゃないし。その自分をなんて言うんだろう、評価してくれて、このチームに来てるから。そうじゃないとプロにもなれなかった。まあ、プロになる前にケガしていたわけじゃないけど。でも、3年間で3回やっちゃったんだもんね…、ちょっと、すごいなと思う」

丸山「でも、良いことあるから。そういう辛い時があったら。大学で楽しんでさ。プロになれたら一番良いじゃん。大学って楽しいことあるから」

米本「今は大卒の方が活躍していたりするわけだしね」

丸山「大丈夫」

米本「でも、大学決まって良かったね」

最初は堅い表情だった源平倭人も、表情が柔らかくなってきた。

源平「今のケガをする前にセレクションを受けて」

丸山「それは良かったね」

米本「今の状態はもうどれぐらい?」

源平「術後は今月で5ヵ月です」

米本「あ、じゃあもうけっこう走ってる?」

源平「走ってたんですけど、ちょっと別の場所が痛くなってきて」

米本「あー、まあ、あるある(笑)。ま、3回切ってるからそれはわかると思うけど」

丸山「そういうところには敏感になっているからね」

米本「またどこか痛くなったらそこは忘れて、また違うところが痛くなるみたいな(笑)」

丸山「その繰り返しだから大丈夫」

米本「大学入る前までにできるようになってればね。気にして見とくよ」

源平「ありがとうございます!」

米本「そのうち練習参加とか来るんじゃない?(と丸山を見る)」

丸山「いや、俺…」

(ふたり笑顔で固い握手)

固く握手をかわすふたり。ちょっとしたきついジョークの返礼である。

米本「まあ、いろいろなつながりがあるから、どっかでどうせ会うことになるよ、絶対。もしかしたら祐市くんの次のチームに練習生として行くことだってあるかもしれない」

丸山「確かに。その時は話そうぜ」

源平「お願いします!(笑)」

米本「狭いから、サッカー界は」

源平「ありがとうございます」

最後は3人で記念撮影。丸山祐市も米本拓司も、「また話そうぜ」(丸山)「サッカー界は狭いから」(米本)と源平倭人を元気づけていた。

reported by 今井雄一朗

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