【第47回日本クラブユース選手権(U-18)開幕応援企画:名古屋U-18選手&監督6日間連続インタビュー!】第5回:鈴木陽人 「大会に懸ける思いは、自分がたぶん誰よりも強いと思う」
今年も暑い、そして熱い戦いが間もなく開幕する。真夏の風物詩ともなりつつある日本クラブユース選手権の本大会、全国大会が7月23日にスタート。名古屋U-18は横浜FM、熊本、そして千葉とのグループステージE組で相まみえ、11日後の8月2日の決勝を目指す。今回は大会へのカウントダウンとして6日間連続でU-18の選手と古賀聡監督に聞いた大会への意気込みをお届け。若鯱たちの熱い想いを聞いて、開幕へのボルテージをぜひ上げていってほしい。
第5回:鈴木陽人
「大会に懸ける思いは、自分がたぶん誰よりも強いと思う」
Q:大会に間に合って何よりです。状態はどうですか。
「先週の火曜日に復帰して、まだ心肺機能的には上がっていない部分もあります。やっぱり自分たちのサッカーは前から圧をかけていくというのが武器だと思うので、そこを戻さない限りは自分じゃなくていいかなっていうのは思っているところでもあります。もちろん自分は3年生で、主将である自分がそこに立って後輩たちに示さないといけないっていう立場でもあるので、まだスタメンとして試合に出られるかはわからないですけど、狙ってはいきます。そして試合に出た時には、絶対にチームを勝利に導けるようなプレーだったり、振る舞いができればいいかなって思います」
Q:U-19日本代表での経験も自分の中に加えて望む大会ですね。モーリスレベロトーナメントはいかがでしたか。
「相手は年齢で3つ上とか、4つ上、U-21とか、U-23のチームだったんですけど、本当に海外の選手は、言い方が悪いかもしれないですけど”殺す気”で来ることを感じました。聞いたところによると、相手の選手の中にはプロのリーグで戦っているけど、契約満了であの大会に懸けている選手もいたりしたようで、本当に人生を懸けてやってくる相手との試合の中で、自分はタックルを受けて、ケガをしてしまいました。それはほんとに日本にはないプレッシャーで、日本を背負って戦うことのプレッシャーっていうのも感じられましたね。ケガしてしまったけど、ほんとにいい経験だったし、それをこのチームにも還元できることは還元したいです。もうひとつ、自分の武器のところはいくつ年齢が上の相手でも通用しましたし、自分が得意とするプレーだったり形はトップトップのところに行っても通用するかなって、また改めて自信になりました。そこはもっと伸ばせるかなって思います」
Q:チームもプレミアリーグで良い順位につけていますし、今年の前半戦では選手層も厚くなってきました。今のチーム状態、チームの強さを改めてどう感じますか。
「選手層が厚いというのは自分たちの武器だと思うんですけど、プレミアリーグの前期を振り返った時にはその戦いに自分たちは全然満足してなくて。プレミア前期が終わった時点で頂点に立っていないことが悔しくて、それを含めて自分たちはまずはクラブユースでしっかりと結果残すこと、優勝するっていうところを目指してやっています。ここまでに満足している選手はいないのは、逆にみんなの良いところというか。2位で満足していないっていうみんなの気持ちは、チームのひとつの特徴でもあるし、そういう気持ちがあるからこそ、クラブユースもしっかり戦えるかなって思います」
Q:先ほど言われた自分がの状態が良くなければ、入らない方がいいと言えるのは、選手層がこの前半戦で厚くなったことが関係していますか。何がなんでも自分が出なきゃいけない状況じゃなくなった、と思えるようになったのでしょうか。
「そうですね。今だったら自分のポジションでバシ(石橋郁弥)だったりとかが、本当に頼もしいプレーをしてくれています。他にもそこに入った1年生の選手も力がありますし、普段というか去年までの自分だったら、自分が絶対的存在として出なきゃいけない、何としてでも出たいっていう気持ちがたぶんあったと思うんです。今年は逆に、自分を客観的に見ることも少しはできているかなっていうのは感じているので。自分は言葉は悪いですけど、もう次のステージも決まっているので、チームのために戦って走るだけだと思いますし、ほんとに自分は犠牲になって、優勝をめがけてやるって気持ちです。それで古賀さんが自分を試合に出さないっていう判断をするなら、それならそれで途中からのところでアクセントを加えたりもできると思う。スタメンで出るのがベストですけど、そこはあまり心配はしていないところですね」
Q:今年のチームの強みはこの前半戦を通じて、どういうところが出てきたと思っていますか。
「最初の方はやっぱり2種登録組も(貴田)遼河も全員いて、ほとんどメンバーは固定っていう中でやっていたと思うんですけど、遼河だったり、2種登録の選手がいない時に底力を見せてくれたのは3年生だなっていう風には感じています。そこで3年生がやったから、1年生も2年生もそれに感化されて、良いプレーが発揮できたのかなっていう風には思うんです。どんなチームもやっぱり3年生が強いチームが強いと思うので。プレーだけじゃなく、チームの引っ張り方も3年生は意識してきたことで徐々に上がっているところだと思います。そこもひとつの武器になってくるのかなっていう風に思います」
Q:鈴木選手は1年生の頃から試合に出ているので、いま試合に出ている下級生の気持ちもわかると思います。それがわかっている上で、3年生として彼らを含めたチームをどう引っ張りたいですか。
「特に1年生の頃は、自分の3年生の先輩には(真鍋)隼虎くんだったり、ヒデくん(甲田英將)だったり、(加藤)玄くんとか、ほんとにすごい選手で人間力も高い選手がいました。そこで自分たち後輩がどういう選手についていきたかったかっていうと、本当にチームのために戦うし、チームのために走れるし、勝利に貢献できる選手でした。そういう人たちに自分も1、2年生の頃は『この人たちについていきたい』と思った。そこはやっぱり今の僕たち3年生にも共有しなきゃいけないです。自分が1、2年生の時に試合出ていて、どういう選手が頼りになったか。玄くんだったり、隼虎くんだったり、ヒデくんだったり。そういう選手の姿を見てきたからこそ、自分も先頭に立ってみんなに促すというか、そういうことをやるべきだと思っています。それに気づけるのが3年生だと思うので、自分もしっかり背中で見せなきゃいけいけないって思います」
Q:クラブユース選手権はレギュレーションの違いや連戦、暑さ、いろいろな厳しい条件がある大会です。戦い方や勝ち抜き方はどう考えていますか。
「去年は1戦目、2戦目と勝って、3戦目に鳥栖と引き分けて、で、次のトリニータで負けたんです。去年はベスト16までが2試合ずつの連戦で、3試合目の鳥栖戦でほんとに出しきった感じになっちゃって。次の大分戦で自分たちの強度があまり出せなかった。それはそれで自分たちの実力が足りなかったなと思っているんですけど、ほぼ予選突破が決まっていたところでの鳥栖戦で『なんで落とさなかったんだ』っていうよりは、自分たちのコンディションの部分だったりとか、そのためのセルフケアのところが足りなかったんだなって自分も思ったので。本当の頂点っていうのは、全部を圧倒して勝たないと。予選の勝ち抜けが決まっているから、ここで落としてとかいうのは本当の頂点じゃないし、古賀さんも含めて自分たちはそれで勝ってもほんとに嬉しくない。このレギュレーションだからこそ、自分たちが成長できる場だと考えて、セルフケアやコンディショニングってところをより一層やっていきたいです。自分だったり、(杉浦)駿吾だったりは国際大会も行ってますし、そういうところで他の選手、1年生など経験のあまりない選手に還元できるものがあると思うので、オフの部分でも自分が先頭に立ってやれたらなって思います」
Q:このタイトル自体は、自分の中でどういう位置付けなのですか。
「1年生の頃は出場機会はベンチメンバーの中なら多い方だったんですけど、それでも決して全てが嬉しい感情っていうだけじゃなくて。そこに決勝の時とかもそうですけど、少ししか出られなかった悔しさだったり、そこで自分の良さを示せなかった悔しさだったりとかも少なからずあって。逆にそれを晴らせるチャンスというのが、3年生として、最高学年として、今回あるっていうことでも、ほんとに思いきってやるだけです。クラブユースっていうのは、自分たちが目標を達成する上で、”三冠”という目標を達成する上で、優勝して、そこをスタートラインにできればなって思うので、絶対に落としたくないです。大会に懸ける思いというのは、自分は1年生から試合に出てきて、いろいろ知っているものもあるし、たぶん誰よりも強いと思う。チームでその自分の気持ちっていうのを表現して、体現して、それをチームメイトに汲み取ってもらって。それで士気が上がったりしたらいいなと思います。プレミアファイナルも優勝したいですけど、クラブユース選手権も目の前にある大きな大会で、いまの自分の中では一番熱量を持ってやらなきゃいけない大会かなって思っています」
Q:トーナメント形式含め、難しさもあるのでしょうか。
「自分はあまり試合で緊張することはなくて、逆にこういう大きな大会の方が、見てくれる人もが多いので。自分は逆にワクワクできるんですけど、緊張している選手もいるとは思いますし、ふわっとしてる選手も中にはいると思うんですけど(笑)。それを一人ひとりが100パーセントの力を出せる心の状態だったりに、自分が近づけていくことがベストだと思うので。そこの難しさを個人としてはあまり感じてないですけど、みんなの中に難しさを感じている人がいるなら、そこは自分が何とかするというか、ちょっと声かけてみたり、いろいろなアプローチの仕方があるかなって思うので。こういう大会は3年生だったり、経験のある選手が、どれだけ強くやれるかだと思うので、タイトなスケジュールの中でどれだけ自分たちが1、2年生を巻き込めるか。総力戦になると思うので、そこを難しいってとらえるんじゃなく、楽しむような感じでやれたら、このチームは強いかなって思います。だから、楽しんでやりたい」
Q:鈴木選手はプロ内定が出ていることで、そういった意味での注目のされ方や警戒のされ方も、リリース以来はあったのではないかと思います。そうした部分では、どういったプレーを見せていきたいですか。
「内定決まって、決まる前もそうですけど、プレミアとかではやっぱりスカウティングされて、自分のところに何枚かマークを置いてきたりもあったと思います。でも決まったからこそ、そこでやられていたらプロの場所には入っていけないと思いますし、逆にそれでもできるようになったら、プロでも1対1なら負けないとか、そういう自信にもなってくると思います。そこは自分としても楽しみですし、相手が何枚も来るなら引きつけてパスをしたり、それでもドリブルで打開していくっていうところが自分がやらなきゃいけないことです。それをやることによってやっぱりいろいろな見てくれる人に活力を与えたり、少なからずトップのコーチやスタッフに『陽人、できているな』って思わせることによって、来年からじゃなくても、今年からでもトップチームにかかわっていけるかなって思うので。そこは内定出たからこそ、より引き締めて、いろいろなことを意識しながらやりたいなって思います」