赤鯱新報

【フォトレポート】那須奏輔の嬉しい”初勝利”で第一関門を突破。日本クラブユース選手権・東海PPトーナメント1回戦で清水ユースに快勝!

負傷者を除けば久々にベストと言えるメンバーが揃ったこの日のスタメン。裏を返せば選手層の厚みを感じる今季のU-18である。

ユース三冠のひとつ、日本クラブユース選手権の東海予選はいよいよ大詰めを迎え、プレミアリーグとプリンスリーグ参加チームによる「PPトーナメント」の1回戦が28日、磐田市スポーツ交流の里ゆめりあサッカー場で行われた。午前に行われた1試合目ではJFAアカデミー福島が磐田U-18を2-0で下して決勝へと駒を進め、その対戦相手を決めるのがこの清水ユースvs名古屋U-18の対戦だった。ここ数試合の公式戦を主力を欠く編成で戦ってきた名古屋U-18だが、この日は負傷者を除いてベストと呼べるメンバーを揃えることができ、充実の布陣で”宿敵”との一戦へ。飲水タイムも入った暑さの中で、彼らは存分に闘い、そして勝った。

キックオフは那須奏輔。攻撃陣の中心であり、彼がうまく機能することで名古屋U-18の攻撃はスピード感を増す。

試合としてはデュエルの多い激しい内容ながら、互いの決定機はそれほど多くはならないじりじりとしたものに。前半はギアの上がらない名古屋が清水のインテンシティの高さに手を焼き、単純に背後を狙うことが不利と感じてか中盤周辺でのプレーが増え、いつもの推進力が出せない。相手のチャンスも少ないが、自分たちの攻撃も少なく、ボールは保持してパスを回すも、仕掛ける前にロストして守備で追う、という展開のままに45分は過ぎ去った。

後半の名古屋の左サイドはチャンスの源だった。鈴木陽人も縦に中へと文字通り縦横無尽にボールをさわり、起点となった。

後半に入るにあたり、鈴木陽人をはじめ前線の選手と中盤のコミュニケーションも密に心がけたのは、デュエルのあとのセカンドボールをしっかり前へとつないでいくこと。野田愛斗も内田康介も前半から良くボールは触っていたが、なかなか効果的な展開にできていなかった点を、鈴木と池間叶の左サイドの連係が上がってきた部分へアップデートし、一気に前へ。開始2分で鈴木の決定機、その後もぐいぐいと前に出て行った結果は後半9分のコーナーキックを生み、先制点へと結実していく。鈴木の速いボールをゴール正面で合わせたのは那須奏輔である。「気づいたら入ってました」とはにかんだ背番号13だが、「いつも自分の得点でチームを勝たせるのが目標なので」とストライカーとしての矜持も垣間見せる。前半はなかなかボールも触れない展開の中でリズムが上がっていかなかったが、後半早々の攻勢の波にしっかり乗り、決勝点を仕留めてみせた。

待望の先制点に大喜びする選手たち。那須奏輔は「Aチームデビューもプレミアデビューも清水戦だったんです。何か今日は取れる気もしていた」と自慢顔。

リードを奪えば戦い方はおのずと定まる。反撃の勢いを出してくる清水に対し、前半同様に球際を激しく跳ね返していく。反撃の威力はその分増し、流れを失わないためにベンチもフレッシュな面々を入れてチームの強度を保った。源平倭人と野中祐吾には前線の迫力とボール保持の個人技を、佐藤俊哉と森壮一朗には守備のインテンシティを、その意図は明確で、数字としても清水には前半2本、そして後半も2本しかシュートを打たせていない。長田涼平は「まずは相手にシュート打たせないってことをバック陣の全員が意識して」と試合序盤の意識を語ったが、それは90分を経過するなかでも継続して保たれたわけだ。最前線から最後尾まで、統一された良い守備がこの日のチームには確かに存在した。

試合は1-0で勝利。次週に待つJFAアカデミー福島との対戦に勝利すれば、クラブユース選手権の全国大会へのストレートインが決まる。

今季は戦うリーグが違うが、清水ユースというのは名古屋U-18にとっては同じエリアのライバルとしての意識も強く、その意味でも今回の勝利は格別のもの。那須は「グランパス入ってから清水に勝てたことがあんまりなかったんです。中学からはもう1回も勝てていない」と、密かなモチベーションも試合後に明かしている。長田も苦笑しながら「去年も負けていて、ここで自分は絶対勝とうっていう気持ちはありました」と言い、勝利の重み、嬉しさを嚙みしめた。夏のクラブユース選手権は三大タイトルであることもさることながら、毎年のようにチームが大きく成長する場でもある。その出場権獲得は重要で、まずは第一関門突破という意味でもこの勝利は大きい。

次週の相手はJFAアカデミー福島。このチームもプリンスリーグ東海所属だが、プレミアの磐田を下しての対戦に油断はできようはずもない。本戦ストレートインへ向け、隙のない1週間の準備に期待したいところだ。

reported by 今井雄一朗

□試合フォト

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