【赤鯱短信】謙虚に、しかし心底喜んで。藤井陽也の成長に携わった指導者の信念と回想。
藤井陽也の日本代表選出は名古屋グランパスにとって、U-12やスクールからの純血の生え抜きが招集されたという意味でクラブ史に残るトピックと言えた。それは言うまでもなく名古屋の育成が、真の意味で日本代表選手を育成したということになるからだ。吉田麻也や菅原由勢など、これまでにもA代表に入ったアカデミー出身の選手はいたが、彼らはともにU-15から名古屋の育成に加わった男たちだ。それがアカデミーの価値を下げるわけではないが、だからこそU-12から所属しプロになり、ここまでたどり着いたことには破格の価値がある。
現在のトップチームには藤井の育成にかかわった男たちがたくさんいる。その中のひとり、三木隆司ヘッドコーチに改めて感想を聞いてみることにした。三木コーチは現役引退後、名古屋のスクールコーチを始点にU-15やU-18での指導を重ね、昨季からトップチームでのコーチに就任。その指導歴の中で藤井の中学校3年生から高校3年までの計4年間を見てきたまさに“恩師”である。三木コーチは「たまたま担当していたってだけですよ」と謙遜するが、今季の名古屋公式HPの藤井のプロフィールを見ればわかる。「影響を受けた指導者」の欄に、しっかりと「三木隆司」の名前があるのだ。三木コーチを藤井の恩師と表現することに、何の違和感も問題もない。
「プロになる選手っていうのは、なるものなんですよ」と三木コーチは言う。そして藤井と同期でプロになった選手たちの名前を列挙し、しみじみと、そして自らの指導哲学にも触れつつ、少しばかりの回想を聞かせてくれた。
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