赤鯱新報

【試行錯誤の末に築いた土台 名古屋グランパスver.2022シーズン総括】前編.重なる不運、遅れるチーム作り。3バックで土台の作り直し

11勝13分10敗。勝点46で30得点、35失点。リーグ戦8位という成績で2022年の名古屋グランパスは戦いを終えた。最終節の劇的な幕切れには“有終の美”という印象もあるが、彼らはやり通した一方で順調な1年を送ったわけではもちろんなかった。むしろその正反対だ。思い描いていた強化プラン、成長曲線、選手の力を発揮させる算段、そのすべてに修正をかけ、対応をし続けてきた中でのシーズンの歩みは険しく、しかしだからこそ強固な土台となって来季のチームを支えるに違いない。公式戦全日程を終えた今、クラブは2022年を冷静に評価し、変えるべきは変え、続けるべきは続け、という精査を重ねているはずだ。

我々も今一度、振り返るべきだろう。艱難辛苦という言葉がぴったりの厳しいシーズンに、名古屋がどうもがき、何をもって戦いの源としてきたのか。その苦労と収穫を総括する。

前編. 重なる不運、遅れるチーム作り。3バックで土台の作り直し

初志貫徹。結果や成績は出て初めてわかるもので、長谷川健太監督は今振り返っても哲学を貫き通したと思う。「50得点以上でリーグ優勝」というキャッチーな部分だけが独り歩きし、できていないじゃないかと揶揄する声はシーズン中から方々で聞かれてきたが、それを監督ひとりの責任とするのはあまりにも短絡的すぎる。なかなか得点が決まらず、勝利をもぎ取れない状況下では「FWが得点しないと」という発言もまた強い響きをもって話題となったが、誤解を恐れずに言えば、そこで選手の方に矛先が向かな過ぎたのも良くなかったと思う。一生懸命頑張っていても、結果が出なければ職を失うのがプロの世界で、得点を担うからFWというポジションをやっている選手たちに、「もっと頑張ってくれ」というのは当たり前のことだ。どれだけの戦術を練り、崩しのパターンを確立しても、最後でゴールの枠を外せば無意味である。そこで「お前らしかいない」という最大の信頼を置いていたのは、長谷川監督その人だ。

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