赤鯱新報

【新春特別コラム】 “ベストピッチ”への飽くなき挑戦 豊田スタジアムと芝の続くストーリー 後編:芝を扱う者たちの夢の広がり

年間55試合という過酷なスケジュールとの戦いを経験した昨季の名古屋グランパスだが、そのホームスタジアムである豊田スタジアムもまた、多いに悩み、奮闘した1年だった。従来は二つのホームを兼用するチームだが、パロマ瑞穂スタジアムが長期改修に入り、しばらくは豊田スタジアムのみでのホームゲーム開催が続く。単純計算で倍に増えた試合数のなかで、いかに良好なピッチを保ち続けるかはスタジアム関係者たちの腕の見せ所。今回は2021年のホームピッチを支えた人々の努力と挑戦にスポットを当て、知られざる豊田スタジアムの仕事について触れていきたいと思う。

後編:芝を扱う者たちの夢の広がり

前編では“名古屋グランパスのホーム”としての豊田スタジアムについて、昨季を含めたこれまでの取り組みについて触れてきた。後編は“豊田スタジアム”としての芝との関わり方について、非常に興味深い部分があったので紹介したいと思う。職人的な作業の感も強い芝管理において、豊田スタジアムのヘッド・グラウンドキーパーである田井中修さんは、とてもオープンでリベラルな未来を思い描いているのだ。

話題のきっかけは、豊田スタジアムの芝の張り替えについて話していた時だった。サッカーの世界では「芝の全面張り替え」という文言はそれほど頻繁でなくとも、特に珍しいワードでもない。筆者も年に1回か2回、夏用の芝と冬用の芝を切り替える際に行われることとして、そういうものがあるとは承知していた。だが、実際に芝の張り替えとはどのようにして行われるのかは、実は詳しくを知らなかった。一定の期間を要することを思えば、ピッチの土台に種を撒いて芝を生やすか、すでに育成している芝を持ってきて根付かせるか、そういった具合だと想像していたが、違った。これはもう、専門家の言葉に頼った方が文字通り話が早い。

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