赤鯱新報

【山口vs名古屋】レビュー:アウェイで決めた3連勝も、内容は一進一退。“苦しみながら得た快勝劇”という矛盾は、彼らをさらに強くする。

■2017明治安田生命J2リーグ第36節
10月7日(土)山口 1-3 名古屋(15:03KICK OFF/維新公園/6,902人)
10′ 玉田圭司(名古屋)36′ 佐藤寿人(名古屋)58′ 田口泰士(名古屋)63′ 小野瀬康介(山口)
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アウェイでの3-1というスコアは快勝と呼んでいいはずだが、どこか消化不良の感も残る戦いになった。「どうにもゼロに収まらないね」。試合後、疲れた表情の田口泰士が渋い顔で言う。支配し続けた前半と追い上げられた後半の違いはわずかなものだが、現象としては大きな差として現れた。風間八宏監督はそれを「錯覚」という言葉で表したが、言い得て妙である。良くも悪くも、彼らは自分たちの力を推し量りかねているのだ。

立ち上がりから素晴らしい出来を見せた名古屋は、前半でほぼ試合を決めてみせた。守備の力点を定めていないような山口の守備を尻目に序盤から試合を完全に掌握。前節で想定以上にはまった佐藤寿人のサイドハーフ起用はこの日も継続され、しかし前節以上の流動性をもって玉田圭司やシャビエルらとつかみどころのない攻撃を展開した。「楽しかったですよ、今日は」と白い歯を見せた佐藤は高い位置での守備でも貢献し、相手陣で試合をするという理想をほぼ体現。10分に田口泰士のパスをヒールでスルーパスにつなげたシャビエルのアシストを受け、玉田が先制点を決めるとその流れはさらに加速した。時に際どいところを狙いすぎてミスが起こり、そこからのカウンターを受けることもあったが失点にはつながらず。相手陣のペナルティエリア付近で高速のポゼッションを見せる時間帯もあるなど、山口の戦意を削ぐような攻撃が前半は展開された。

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